"地中海,クロアチア,クルック,クルク,バシュカ,krk,baska"
白い山と青い海のビーチリゾート
Baška
バシュカ
(クルク島 −クロアチア)♦

ルク島のように、それほど大きくない一つの島の中で、二つの全く異質な風土を持つ島は珍しい。
 豊かな森に覆われ、人が住み、発達した北部に対し、南部は木が生えず水もない真っ白な不毛の地が人を寄せ付けない。バシュカ湾に注ぐ細い小川に沿って、幾つかの小集落があるだけだ。
 しかし見事な白砂の入江は、マリンスポーツとビーチリゾートのための多くのツーリストをひき付けることとなった。
 真新しいリゾート用のアパートが並び、旧市街の一角に僅かに古の風情を垣間見るに過ぎないが、町の歴史は古く19世紀までは島で最大の町だった。大陸に戦乱が続き、海に向かって交通路が開けた時代、背後の荒地は町を守る役割を果たしていたのだろう。
 しかし本土と橋でつながり、北部に空港やコンビナートが建設されると、南端のこの町は重要性を失い、近年フェリーの航路が廃止されて隣のラブ島への渡り口としての役目も終えた。
 リゾート地としてのバシュカは快適だ。車で本土から1時間、リエカ空港から30分で到着し、ホテル、アパート、レストランも多い。静かな町に沿って、どこまでも続く白砂のビーチ。
 今はすっかり寂れてしまった山に向かう旧市街の一番上の、聖イヴァナ・クルスティテリャ(Sv.Ivana Krstitelja)教会から町を見下ろせば、白い山と白砂と青い海とのコントラストが美しい[写真下]。
 町を有名にしているのは、2km離れた隣村ユランドボル(Jurandvor)の聖ルチヤ教会だ。バシュカ・タブレットと呼ばれるおよそ2×1メートルの石盤に、グラゴール文字でぎっしりと碑文が刻まれている(展示物はレプリカ)。スラブ系言語の古文字だが、正教を離れカトリックの下に入ったクロアチアで中世まで奇跡的に残っていた文字だ。