ベニックの印象は、「美しい自然に囲まれた美しい海辺の都市」と言える。アドリア海を見下ろす丘の上の要塞を中心に斜面に発達した町は、先住民族もしくはギリシア・ローマ起源の町が多いダルマチアの主要都市の中では唯一、クロアチア人によって建設された町だ。
　石畳のしっとりとした旧市街には、思わず足を止めたくなる歴史的建造物や史跡が多いが、なんと言っても白く輝くスヴェティ・ヤコヴ（Sv.Jakov）大聖堂が圧巻だ。世界遺産に指定された聖堂は、15世紀のものだ半円を重ねた独特の正面と力強い側面が特徴で、その様式はヴェネツィア本国、サンミケーレ島ののサン・ミケーレ･イニゾーラ教会（S.Michele in isola）にも影響を及ぼしている。
　丘の頂上には12世紀のスヴェティ・アナ（Sv.Ana）要塞跡があり、ここから海を背にした大聖堂、町の全景、そして半島、湾、島が入り組んだ多島海のすばらしい風景を一望の元に収めることが出来る。
　シベニックはナチュラリストにとっても良いゲートウェイを提供している。真っ白な三角錐の島々海原を埋め尽くす不思議な風景のコルナティ国立公園、湖や滝が美しいクルカ国立公園のいずれへも程近い。