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中世へタイムスリップする小島
Trogir
トロギル
(クロアチア)♦♦
Centro
Storico

水面に浮かぶトロギルの街並み

くの旅行者にとってダルマチアへの第一の入口はスプリット空港だろう。その僅か5キロほど西にこれほど見事な歴史を持つスポットがあるのは意外な感さえする。
 古代ギリシアの紀元前3世紀にトラグリオンとして建設された植民都市がその起源だが、現在の町は13世紀のハンガリー領〜15世紀のヴェネチア領の時代にかけて作られた中世の町並みだ。

聖オルスィーニが見下ろす北門

 もともと本土の半島の上に築かれた町であったが、防御用の堀を本土との間に掘削し、本土とチオヴォ島(Čiovo)との間に浮かぶ長さ450メートル、最大幅300メートルほどの小島の町となった。この特異な立地のために、数百年前に繁栄した町の構造を現在でもほぼ保っており、世界遺産に指定されている。

 城壁で囲まれた町への入口は本来、本土から橋を渡って入る北門、チオヴォ島から長いチオヴォ橋を渡ってはいる港側の新門の二箇所であった。今でもいずれかの橋を渡って町内に入ることになる。



カテドラル入口のラドバンによる力強い彫刻

の立つ本土側の端の袂から運河のような細い水路を越える短い橋を渡ると北門があり、町の守護聖人イヴァン・オルスィーニの像が見下ろしている。町内の細い複雑な路地を抜けていくと城壁内で唯一のイヴァナ・パブラ2世広場に出る。ここに多くの重要な建築物が集まっている。

見事な装飾がそのまま残るロッジア











 広場の北側には13世紀のスヴェティ・ロヴロ(Sv.Lovro)大聖堂があり、入口を飾る名工ラドヴァンによる迫力ある彫刻、ロマネスクとゴシックが混在する聖堂内部の素晴らしい造形物の数々は見逃せない。正面には堂々とした構えの市庁舎、右手には珍しい水色の文字盤の巨大な時計塔がシンボリックに時を告げている。その脇のロッジァのレリーフや木製の天井の装飾も美しい。

巨大な文字盤の時計塔


南面の新門と聖ニコラ砦




細く入り組んだ路地



観光客が去り静まり返った夜の市内

会前のファザード正面の広場さえ確保できないほど、城壁内は面積が限られているので、建物は高く、路地は細くなってくる。その薄暗い路地を彷徨い歩けば、普通の建物の一角に突然聖ニコラ修道院が現れ驚かされる。今も生きた町なので、観光客向けのレストラン、土産物屋、美術品店に混じって、肉屋、本屋、工務店などを見つけることが出来る。
 南の新門を出るとチオヴォ島を望む反対側の岸辺に出る。この水道は波もないので、この島の港として機能している。夏ともなれば、ヨットで訪れるリゾート客で桟橋はいっぱいだ。港は反対側のチオヴォ島の方にまで広がっている。橋を渡って対岸に行けば、2つの鐘楼を伴って水面に浮かぶ美しいトロギルの風景を見ることが出来る。

手前の本土と向こうのチオヴォ島に挟まれた小島、トロギル