グリャン島の島影の静かなザダル海峡に面した小さな岬の上に、オレンジ色の瓦屋根の家々がギッシリひしめいている。かつてのイタリアの都市ザーラ(Zara)の旧市街だ。そして、現在のクロアチア第5の都市ザダルの見所は、この中に集中している。
都市の起源は、2世紀にローマ帝国が先住民を蹴散らしてここに植民地を建設したことに始まる。その後歴史の波に翻弄され支配者が幾度となく入れ替わったが、ザダルはダルマチアで最も長く濃いイタリア都市としての歴史を持っている。イタリアが最後にこの地を去ったのは1944年のことであり、これが町がイタリアらしさを残しているゆえんだ。 ローマ時代のフォーラムは今でも町の中心広場として賑わっている。それを囲む、聖ドナート(Sv.Donat)、聖ストシヤ(Sv.Stoija)、聖マリヤ(Sv.Marija)の各教会は、それぞれクロアチア、ローマ、ヴェネチアの様式を踏襲しており、どれも劣らず貴重な建物だ。特に聖ドナート教会は、クロアチア王国時代に作られたこれだけ大規模なものとしては珍しい建物で、古代ローマの石柱を借用して立てているのが見ていて面白い。 |
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ダルはヴェネチア領時代には、植民地の首都として発展した。確かにヴェネチアは多くの足枷をはめたのも事実だが、戦乱が続く中世ダルマチアにおいて、都市が興隆し、文化的な生活と安全とが保障された時代を送ることができたのは、必ずしも悪いことではないだろう。 |
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えてザダルは、1991年から93年にかけてクロアチア独立戦争の激戦地にもなった。
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