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高い建物のない市内のどこからでもララ・ムスタファ・ パシャ・モスクが望める |
キプロスで一番良く保存された城塞都市といえば、ここファマグスタ(現地の言葉:トルコ語でガズィマウサ)であろう。海に面したこの都市は、周囲約3.5kmの分厚い城壁に現在でもしっかりと守られており、町への入り口は2個所しかない。数世紀を経た現在、この城壁がかつてここを支配したヴェネチアによって築かれたことを知る人は少ない。
ファマグスタは悲劇の都市だ。ここを訪れると、町全体を廃墟のようなうらぶれた空気が支配している。
当初キプロス一の海洋都市として整備された町は、1571年、延べ20万人のトルコ軍に包囲された。ブラガディーノ司令官の好采配も空しく、包囲10ヶ月目にはついに陥落、進入したトルコ軍は、うさを晴らすかのように建物や教会を破壊し尽くした。今も多くの教会がそのまま廃墟となって残されている。最大の建造物であった聖ニコラウス大聖堂は、ミナレットを追加してモスクとなり、その壮麗な外観は保たれた。内部の見事だったであろう装飾は一切取り払われて一面に絨毯が敷き詰められている。
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海からの来訪者を睨むオセロの塔
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悲劇は、20世紀に再びこの町を訪れた。独立してキプロス共和国となり、海と古代遺跡とで彩られた最大のリゾート都市を、1974年、再びトルコ軍が襲った。トルコ軍の進撃は、ファマグスタで止まり、今でもキプロス軍との停戦ライン上の地域は、30年前のまま時が止まったように放置されている。ファマグスタ中心部は、トルコ占領下の「北キプロス・トルコ共和国」に入り、ギリシア系市民と共にリゾートホテルも全て国境の南に建設されたアギア・ナパなどに引っ越した。分断された町はそれ以後、活気を失っている。
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