ト ロードス山塊は標高2000メートル近い高さでキプロス島を南北に隔てており、ひとたび山に入るとアルプスのような景観が展開する。その山越えの街道の北側最後の宿場町がカコペトリアだ。
本来小さな村であったが、下界で時には40℃にもなる夏でも涼しい気候のため避暑地として注目を浴び、今ではリゾート化も進んでいる。
そんな新しい村に埋もれるように、300メートルほどの長さの歴史保存地区の旧街道が残されている。人がやっとすれ違うほどの石畳の道の両側は、二階のテラスが張り出した木の梁を持つ土壁とレンガの家屋が軒を連ねる。道端に座った老人がリンゴの皮をむいている。特産の果物のシロップ漬けを作っているのだろう。街道の一番下の大岩は、村名の由来となった「悪い石」(カコペトリア)だ。
カコペトリアには名物ホテルの「リノス」がある。古い民家を改装した快適な部屋、伝統のマス料理やメゼを味わえる葡萄棚の下のレストランなどがあり、ぜひ泊まってみたい。
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