シ オタという、ちょっと変わった街の名前は、プロヴァンス語でLa Ciutat、単に「町」を意味している。
マルセイユの近郊都市である一方、リゾート地でもあり、その位置づけは、ある意味で中途半端だ。しかし逆に言えば、賑やかな都市生活とリゾートとを両立可能な滞在先ともいえる。
近世に大きく発展したため、町並みは比較的きれいで整備されている一方、、産業の中心であった海運や造船が廃れ、うらぶれた感じは拭いきれない。ちょっと言い過ぎだが、横浜のようなモダンレトロな感じを持つ町と言えるかも知れない。
夕方、露店を冷やかしながら、何を見るともなく旧港に沿いの通りを散策し、海沿いにテーブルを並べるレストランで冷えたワインと魚のスープをいただくのが、この町の楽しみ方ではないだろうか。
海の方を見れば、ベック・デーグル(Bec d'Aigle、鷲のくちばし)の尖った巨岩と、造船所跡に残置されたクレーンが、張り合うように聳え立つ。
町外れの、ノートルダム・ド・ラ・ガルド(Notre Dame de la Garde)聖堂まで登ってみると、ベック・デーグルが間近に迫り、町と断崖の織りなす素晴らしい光景を目にすることができる。
時間があれば、近くの風情ある港町カシを訪れたり、遊覧船に乗り300メートル以上の断崖と入り江が美しいカランクに出かけたりしてみたい。
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