南 仏最大のリゾートエリアであるニース近郊に、エアポケットのようにひっそり静まり返った村が、ル・オー・ド・カーニュだ。(日本語名では通常定冠詞がつかないらしい)
車と人であふれた高層建築の市街地の中に、物音ひとつしない時が止まったような中世の丘が、島のように浮かんでいる。
炎天下、メインストリートである一本道の急坂を登っていく。家々の明るい壁の反射が眩しく、咲き競う花の色、木陰のコントラスト、そして振り返ると海の青さが一枚の絵のようだ。
数分後には、丘の頂上の城に着く。城の上部から、青い海原が、また背後の山々が、一望のもとだ。
谷を挟んだ向こうの丘には、ルノワールが愛して晩年を過ごしたアトリエ、コレット荘が、現在は小さな美術館として公開されている。
もともと農園だった土地に残された、広大な庭とオリーブの古木、古びた納屋に、南仏の農家の生活が感じられる。
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