サ・マーニ（内マーニ）の先端近くになると樹木も疎らになり、幾何学的な造形物のような白茶けた山のうねりの見え隠れして積み木のような塔が林立する、シュールな風景が展開する。
　アノ・ブラリは、2kmほど内陸に入った斜面にある典型的なマーニの村で、マヴロミハリス（Mavromichalis）が本拠地とした場所だ。マーニ人は伝統的に好戦的で、全ての権力に反抗した。そのため本来海賊であった彼は、トルコ占領時代の反乱の功により首都アテネにも像が立つ独立の勇士でもある。
　現在のアノ・ブラリは、恐ろしいほどの静けさが支配している。群れ立つ勇壮な塔の数々、ダイナミックな半島の眺め、朽ちかけた古い聖堂に、数々の歴史を偲びたい。