リ ビア海を望むクレタ島の南海岸は、海沿いに縦貫する車道さえないヨーロッパの最果てだが、紀元前50-10世紀には文明の中心メソポタミアやエジプトに最も近く、クレタ島特に南部はヨーロッパの玄関口であった。
町の起源は神話時代の神官キルバス(cyrbas)にまで遡るが、歴史的にはドーリア人が聖なる(イエラ)石(ペトラ)と名づけて、本格的な町として建設したとされる。
現在の町の基礎は、ようやく平和が訪れたヴェネチア領時代に、一番のモニュメントである城とともに作られた。
イエラペトラは、北緯35℃00分、これより南にヨーロッパの都市はない。
しかもクレタの主要都市の中では唯一南向きなので、町はとにかく明るい印象だ。
海に突き出た城と港に隣接した旧市街の一帯は、細い路地に中世の家々が密集した、歩き回るのも楽しい地区だ。
トルコ時代の遺物であるモスク[写真下]も、地中海風の無国籍な街並みにすっかり溶け込んでいる。
漁港に面したタベルナで、素朴な料理を味わいたい。
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