抜約300メートル以上の赤茶けた断崖上に町が展開するサントリーニ島。観光地として世界的に有名になった今、中心地フィラは、まるで町全体がカフェやショップと化したような有様で、観光客で溢れ喧騒に包まれるようになってきた。
フィラから崖沿いのプロムナードを北へと歩いて行くと、尾根状の地形が細くくびれて崖の反対方向も開けた場所に出る。このあたりはフィロステファニ(Firostefáni/Φηροστεφάνι)という地区だ。 かつて小集落だったが、フィラの町の観光開発による拡大が進み、飲み込まれてしまった感がある。
道はここから少し高度を上げながら、建物が全くない大崩壊地帯を通り過ぎる。そして真っ黒な岩の上を覆うように現れる白い塊が、イメロヴィグリの町だ。フィラから約3km、歩いて30〜40分くらいの距離になる。
プロムナードには、プライベート(private)と表示された門が並び、それぞれ崖の下のほうへと歩道が伸びている。それらの建物は白と青をベースにしながらも、それぞれモダンなデザインを取り入れた、素晴らしいものだ。 たいていは明るい色の水を湛えたプールを備えており、
所々にあるタヴェルナやショップは、決してこれ見よがしの豪華さはないが、どこか隠れ家的で、上品な落ち着きを持っている。体一杯の自然を求めてやって来る富豪たちは、都会と全く同質のものではなく、肩肘の張らないサービスを求めるものだ。
の最高地点にあるレストラン・カフェ「ブルーノート(Blue Note)」からの眺めは、言葉にできないほどの素晴らしさだ。南にフィラの町、北にイアの町、前方にスカロス(Skaros)の岩山、その隙間を埋めるような海、ここで日没時の夢のような時間を過ごすのは、何にも換えがたい。
その先は、崩れそうな岩と砂とでできた不安定で道が、スカロスの奇妙な形の岩山の先まで伸びている。 スカロスは、ヴェネチア領時代に砦があった場所だ。足元の定まらない道は、その岩の横をかすめて岬の先端へと向かう。やがて岩の裏側に位置する、西の海を臨む教会にたどり着く。 ここから海に沈む太陽を見ている時間は、まるで天上にいるかのような至福のひとときだ。
アパートといっても、ホテルの違いはレストランの有無だけで、サービスや設備はスイートルーム並のところも多く、食事は近くにある最高のテラスを持つレストランに行けば良いので、全く問題ない。 最近は、国内に取り扱いをする旅行代理店が出てきている。シーズン中は眺めの悪い最低の部屋でも1泊(1室)200〜300ユーロ(約3〜5万円)、最高の部屋になると1000ユーロ近くはかかるが、余裕があればぜひ宿泊してみたい。
--> Firostefani(地中海生活 −What's地中海 Resort Life "Firostefani" より)
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