ーゲ海からイオニア海にかけてギリシアの国土が広がるが、かつてその東のトルコ周辺にも多くのギリシア人たちが住んでいた。
キプロスは共和国として独立した一方、カステロリゾは幸運にもギリシアに編入され、時には(特にギリシア国外で発行された地図には)地図にも載らないことがあるほどの、ギリシア最東端の離れ小島という特異な存在となった。 最も近いギリシアの島、ロドス島から船で東へさらに数時間かかる一方、トルコの町カシュは目と鼻の先だ。 小さな島の歴史は、それだけで1ページを費やすほど複雑怪奇なもので、中世のビサンティン帝国以後、現在まで、オスマントルコ、聖ヨハネ騎士団、マムルーク朝エジプト、ナポリ王国、ヴェネチア共和国、オスマントルコ、ギリシア王国、オスマントルコ、イタリア、フランス、イタリア、イギリス、ドイツ、イギリス、そして現在のギリシア共和国と帰属を変え、そのたびに島の名前も変わっている。
長さ10km程のちっぽけな島の名前が「最大」とは謎かけのようだが、実はトルコの地中海沿岸のカシュ沖で諸島を形成している、カステロリゾ、ケコヴァなどの島々の中で、面積が最大であるからそう呼ばれているのである。
19世紀には、ロドス、キプロス、ベイルートを結ぶ航路の中継地として、小アジアの産物の積み出し港として発展し、町の人口は15000人を数えたという。現在、わずか400人ほどとなって観光と漁業とを細々と生業としている様子からは、想像もつかないほど賑やかな時代もあったのだ。 イタリア映画「Mediterraneo(地中海)」(邦題「エーゲ海の天使」)の舞台となって以来、観光地化が進むエーゲ海と一線を画す、鄙びた地中海のリゾートとして徐々に知られてきている。
った一つの町カステロリゾは、乾燥した島の波静かな入江に、数百軒の家々が肩を寄せ合うように集まる、絵のように美しい小漁村だ。
車の入らない静かな港の回りの岸壁に沿って、町の中心をなす建物が並んでいる。ホテル、警察、郵便局、食堂、カフェなど、町の主な施設が全て並んでいる。といっても、正式なホテル、アパートが各数軒あるのみだ。またタヴェルナもこのあたりに並んでいる。 島内には他に町はなく、古代のアクロポリスに歩いて登るか、船でブルー・ケイヴを見にに行くのが主なエクスカーションだ。
島を訪れるには、ロドス島から飛行機(週5日、40分)か高速船・フェリー(いずれも週2〜4便程度、所要2時間半・4時間)を利用するのが良い。できればゆっくり宿泊していきたいが、ハイシーズンは宿の確保が難しいかも知れない。高速船やフェリーの時刻がうまく合えば日帰り旅行も可能だろう。 意外なことに、トルコのカシュから日帰りツアーで訪問するのが一番手軽な方法だ。前日に予約し、当日朝夕にカシュ警察署で出入国手続を行うだけだ。後はツアー船の船主の指示に従えばよい。片道わずか2.5km(約40分)の小旅行だ。正規の国境越えルートではないため、日帰りのみ可能で、可否は政治情勢にも左右される。
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