フ ォトジェニック(写真映りがいい)という言葉は、この町のためにあるのではと思うくらい、カモーリの姿は美しい。
ジェノヴァ湾に突き出たポルトフィーノ半島の付け根のパラディーソ湾にある町は天然の良港で、かつてはジェノヴァの帆船の基地として栄えた。山の急な斜面が迫る海岸沿いの1kmに渡って、6〜7階建ての鮮やかに塗り分けられた中世の家々が海に向って立ち並ぶ様は壮観だ。
市街地は緑の山で縁取られ、そのほぼ中央の岩礁の上にはドラゴーネ城と聖マリア・アッスンタ教会が、町を守るように張り出している。
城に守られた小さな港いっぱいに漁船が停泊し、それを囲む一角はバールや食料品店など今でも漁師町の風情を漂わせる。
カモーリの住宅の壁面には、リグリア風的騙し絵で描かれた、実際にはない窓やレリーフが見事に描かれている[写真3]。予備知識がなければ、絵であることに気がつかないほどの出来映えだ。細長い町には、海岸通りと平行に等高線に沿って数本の道が走っているので、そこから見下ろすとはっきり分かるだろう。
町の最大のイベントは、サグラ・デル・ペッシェ(魚祭り)だ。漁師達の守護聖人のサン・フォルトゥナート(St. Fortunato)の日に、直径5メートルのフライパンで魚を揚げて振舞うる豪快な祭りだ。そのとき使われるらしい巨大なフライパンが、普段は駅前広場に飾られている。
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