オ リスターノからオルビアに向けて高速は島の丘陵部を横断する。所々に見られるごくありふれた町のひとつ、オッターナは一見するとそう見える。サルデーニャではごく普通のことだが、のどかな農村風景の中に、秩序なく立てられた新しいモダンな市街地がコンパクトに展開している。町並みは平凡で風情のかけらもない。
だがオッターナには2つの貴重な過去の遺産があるので立ち寄ってみたい。インターを降りて2分の新市街の中にポツンと立つのが、サン・ニコラ教会(San Nicola)[写真]だ。1150年ごろにピサ風のロマネスクスタイルで立てられており、黒、紫、白の石が組合された外観が見事だ。
冬ならば、なんと言ってもカーニバルだ。サルデーニャ内陸部のカーニバルはどの町も極めて個性的だが、オッターナのカーニバルはその特異性で有名だ。町人は、皮製のカラフルに装飾した野獣の面をかぶり、羊の毛皮をまとい、沢山の大きなベルをつけて練り歩く。その原始的な装いは、まるでアフリカやインディアンの様ですらある。種々の研究からサルデーニャ人は遥か昔、中央アジアから移動してきた民族であることがわかって来た。その伝統がキリスト教と結びついたのがこのカーニバルの衣装だと言われている。大陸から隔離された島の内陸部に、遥か先史時代の記憶が受け継がれている。
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