サ リーナ島はミラノ、ローマ、どこから行くにしても不便なエオリエ諸島の離島だが、さらに港からバスで30分はかかる一番奥まったところにある、わずか20〜30戸の小さな村がポッラーラだ。標高962メートルのフォッサ・デッレ・フェルチ山(Monte Fossa delle Felci)から海に落ち込む急斜面の傾斜が緩んだ肩のような緑の窪地に静かに広がっている。峠越えのバスが、一気に海に向かって下っていくとき、その様子が手にとるようにわかる【写真上】。
ポッラーラが有名なのは言うまでもない、有名な映画「イル・ポスティーノ」で、亡命詩人パブロ・ネルーダが住み、郵便配達人のマリオとの間に結んだ心の交流の舞台となった場所がこの村だからだ。撮影に使った家を含め、ただブドウやカペッリ(ケッパー)を育てるだけのその辺鄙な島の生活がそのまま目の前で展開されている。
崖を下る急な滑りやすい道が海岸へと続いている。崖の下の岩場の石ころだらけの海岸から船庫前のコンクリートの搬出口付近にまで、海水浴シーズンには沢山の人が押しかける。
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