先 史時代のサルデーニャ文明の遺跡、ヌラーゲは島内のいたるところで見られるが、中西部のマコメール周辺は特に多い。その一つが、のどかな農村の村シラーヌスだ。ここではキリスト教と古代遺跡とが一体化して、ノヴェナーリオ(聖域)を作り出している。しかも町自体が、遺跡が作り出す聖域の結界の中に作られているといわれている[地中海の聖なる島・サルデーニャ、陣内秀信著]。
その一角を成す、サン・サビーノ教会とヌラーゲが並び立つ地域は特に象徴的だ。何もない荒野の中に忽然と聳え立つヌラーゲ、そして寄り添うように立つ教会[写真]。その手前にはムリステネスと呼ばれるアパート風の建物がある。ノヴェーナ(祈りの9日間)の際、村人がここで寝泊りして祈りをささげる仮の住まいだ。サルデーニャの田舎ではこのような古代からの習慣がいまも息づいている。
この聖域はヌーオロとマコメールを結ぶ幹線道路沿いにあるので、簡単に立ち寄ることができる。
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