"地中海,ポルトガル,オビドス,オビドシュ,obidos"
王妃の町の異称を持つおとぎ話のような町
Óbidos
オビドス
(ポルトガル)♦♦

どかな農村風景の中の小高い丘の上に、要所ごとに塔を配置した一周1.3km程度の小ぶりな城壁の囲みが見える。一番の高みには、内部を見守るように小さな城が建っている。
 城門をくぐると、中は別世界だ。白壁に黄色や青でペインとされ、花の咲き誇るカラフルな家々が並び、町の人と観光客とで大変な賑わいを見せている。
 これが、代々のポルトガル王妃が所有した町、オビドスだ(本来オビド[ゥ]シュだが、日本ではオビドスの発音が定着しているのでそれに従った)。
 王妃の町と呼ばれるようになったのは、13世紀のポルトガル王アフォンス(Afonso)2世が王妃ウハカ(Urraca)にこの町を与えたのが始まりだ。
 だがオビドスの歴史は遥か昔まで遡り、古代ローマ都市オピドゥム(Oppidum)に始まり、城壁はアラブ時代の物を補強したものと言われている。
 丘の形に合わせ細長い町は、城門から城へと続くメインストリートと、並行する2〜3本の脇道を軸にしている。
 観光客で混雑するサンタ・マリヤ広場[写真中]を通って上り坂を進むと、16世紀の均整のとれた可愛らしい城の前に出る。ポウザーダになっているので見学は出来ないが、町をまさに自分の掌中に収めたような気分になる素晴らしい景色が楽しめるので、宿泊予約をしてでも見学する価値がある。
 ここから城壁を一周するのがお決まりのコースだ。遊歩道として整備されており、歩みに伴い刻々と変わる、緑の大地に島のように浮かぶ町や城の眺めは、飽きることがない。