い町が無数にあるアンダルシアの中で、カサーレスは一番と言ってよいだろう。
　町全体を眺めたときのバランスの良い美しさ、町を支える尖った岩山、頂上の古城、観光客を受け入れながらも程よく残されたローカルな雰囲気、そして何といってもアクセスのよさ、これらを全て兼ね備えている点で、他に類を見ない。
　最近開通した高速AP-7のマニルバ・カサーレス（Manilva, Casares）インター（No.142）で降り、真新しい地方道を辿れば10kmとない。
　一方、町との感動的な出会いがあるのは、海岸沿いの国道を行き、エスポテーナの少し先（南西）から上る旧道の方だ。
　徐々に高度を上げ、町に近づいて行き、最後のカーブを曲がると目を見張るような町の絶景が飛び込んでくる［写真上］。
　この景色をさらに見たければ、そこに車を止めてラ・テラサ（La Terraza）というレストランに入ると良い。涼しいテラスで食事を楽しみながらの町の眺めに、去りがたい感すら覚える。
　道はその先で高速からの新道と合流して、町の中心である狭いスペイン広場（Plaza de España）まで続いている。
　城跡までは直線にして約100メートル、地図はなくていい。白い町の路地や階段を、思うがままに上っていけば、いつしか周囲を見渡す大展望のアラブの古城跡に到着する。