ア ルハンブラ宮殿(スペイン語でアランブラ)宮殿であまりにも有名なグラナダ(スペイン語でグラナーダ)は、人口20万人余りの意外とこじんまりした地方都市だ。数年の間にスペイン全土に領土を広げたイスラム教徒は、部族ごとの血で血を洗う抗争が続き、キリスト教徒の介入を受けて徐々に衰退していった。しかし小国であったナスル朝は周囲のイスラム教徒の亡命先として人力・財力を蓄え、かつカスティーリャとも協力しながらイスラム圏ととキリスト圏の緩衝地帯として独自の発展を遂げた。しかし急峻な地形に守られてきた小国は、カスティーリャ王国が本気で牙をむき出してきたときにはひとたまりもなく崩壊した。 |
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ア ルバイシンと呼ばれる、ダロ川を挟んで宮殿と向かい合う丘はかつてのアラブ人居住区だったところだ。今では歴史ある邸宅やギャラリーがならぶ落ち着いた住宅街だが、入り組んだ路地や家々の作りにアラブの面影が強く感じられる。その上部にあるサン・ニコラス教会は、アルハンブラ宮殿のビュースポットとして有名だ。
すっかり綺麗になったこれらの地区よりも、むしろ大聖堂周辺の薄汚い新市街の方に昔日の面影が感じられるのは皮肉なものだ。 キリスト教国になった後も、建築技術に優れたアラブ人の手により街づくりが続けられたため、建物や門のつくりはムデハル様式(アラブ風)だ。 喧騒に埋もれ全容を見せてはくれない大聖堂は、近くにあるのに意外と気づかなかったりする。数々のアラブ風の歴史的な建物に加え、再建されたアル・カイセリア(アラブ式市場)はアラブのスークと何ら変わりなく、異国情緒たっぷりだ。 |