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しかし橋の絶景だけが目的なら、わざわざロンダに来る必要はない。ロンダには典型的なアンダルシアの中規模の町の要素がギュッと詰まっている。
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グアダレビン川が岩を切り裂いた深い渓谷にかかる石橋。18世紀に40年の歳月をかけて作られた高さ98メートルの塔のように聳える橋の上から、吸い込まれそうな川面を見下ろす光景は絶景だ。
また目を前方に向ければ、谷底の高さの平原が遥かかなたまで広がる、崖上の展望台でもある。
このモニュメントを目指してアンダルシアを旅行する多くのツーリストが集い、駐車スペースを探すのすら苦労するほどだ。
橋を挟んで新旧市街が対峙しており、新市街のシンボルは闘牛場だ[写真左]。構造上、野球の球場と似た作りをしており、町の規模の割りに立派であることが、いかに闘牛が根付いているかを示している。
現在まで続く近代闘牛のルールを確立したのがロンダ闘牛界で、伝説の闘牛士ペドロ・ロメロを生んだ場所だ。
近くの車が入らないソコロ広場周辺は、バールや店が集まる繁華街となっており、日除け傘の下でタパスを味わう観光客で賑わっている。
谷底を眺めながら橋を渡ると、がらりと雰囲気が変わる。そこはイスラムのアーキテクチャが色濃く残る中世の旧市街、アラブ人街区だ[写真右]。
ロンダはナスル朝の崩壊間近の1485年までグラナダ王国に留まったため、旧市街は入り組んだ路地とカスティージャ併合後にアラブ風に立てられたムデハル様式の教会や邸宅で溢れている。
面白いのはアラブの王の宮殿(パラシオ・デル・レイ・モーロ、Palacio del Rey Moro)と呼ばれる18世紀の邸宅で[写真左]、渓谷の縁にある庭園の水や緑とモザイクは、小さなヘネラリフェ(アルハンブラ宮殿の離宮)のようだ。
地下に掘られた200段以上の階段を下って静かな川面に下りると、遥か上方に町が望むことができる。
旧市街の城壁を抜けて東に石畳の急坂を下ると、川まで降りることができる。アラブ時代の低い石橋は今でも使われており、平行してさらに小さなローマ時代の石橋も残されている。近くには大規模なアラブ浴場の遺跡がある。
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