カ スティーリャ地方の中心地がマドリッドに移ったのは、1561年に首都がこの町から移転されてからのことだ。少なくともその時まで1000年の間、トレドはカスティーリャの中心地であった。ローマ時代からトレトゥム(Toletum)として知られていた町の、タホ(Tajo)川に囲まれた防衛力に目をつけた西ゴート王は、554年にトレドを首都に定めた。イスラムの時代は375年間と長くは無かったが、芸術、文化において影響は大きく、首都としての地位を不動のものにした。
町の3方はタホ川に面しており、北側には城壁がめぐらされている。町の中心にある大聖堂はフェルナンド3世が1227年に着工を開始させたものであり、当時の首都にふさわしい大規模なものだ。その西側にあるアルカサールは王の居城であったが、1936年のスペイン内戦時に人民戦線の猛攻の前に廃墟と化した。現存する建物ものはその後に再建されたものだ。これらを囲んだ直系約1キロの円内に、迷宮のような中世の曲がりくねった小道が広がっている。車で町を出て対岸のパラドールまで行くとタホ川に浮かび上がる褐色の中世の町が一望できる。町そのものが世界遺産に指定されている。
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