中 部チュニジアの海岸から数十キロ奥まった大地にある町、アル・ジュム(フランス語でエル・ジェム)。一見何の特徴もないこの町が有名にしているのは、駅から近い閑静な住宅街に聳え立つ、ローマ時代の巨大な闘技場だ。3万人を収容したといわれるその大きさは、本家であるローマのコロッセウムと比べても引けを取らないほどだ。
古代ローマ帝国で栄えた町ティスドゥルス(Thysdrus −今日のエル・ジェム)は、当時の常として娯楽施設である大競技場を建設した。古代ローマ帝国が滅びると共に町の繁栄も終止符を打ったが、それが幸いして現在にいたるまで大きな構造上の変化もなく、その姿を保ち続けている。
現在の鉄道駅からまっすぐに闘技場へと延びる道は、闘技場の反対方向へも同様に一直線に延びている。町の構造も古代ローマ時代そのままのようだ。まさにここを中心として、現代のアラブ人の町並みが広がっている。
世界遺産にも指定されている闘技場に入場してみると、その規模に圧倒される。フィールドは闘牛場ほどの大きさだが、観客席はまさに現代の野球場かサッカースタジアムかと思うほどの大きさだ。
保存状態が良いので、最上階まで立ち入ることができる。周囲に広がる町の、360度の大パノラマが展開する。
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