開店前の入口は、新鮮なアーティチョークと花ズッキーニの山

都であり観光地でもあるローマの中心地で、ローマ料理のおいしい店を探すのは意外と難しい。古代ローマ遺跡オッタヴィアの列柱脇のユダヤ人街にあるダ・ジジェットは、伝統的なユダヤ風ローマ料理が食べられる店では都心部では随一だろう。

　もともとは1923年にルイージ・チェッカレッリが旅館として開業したのだが、ユダヤ料理が評判となり、今はクラウディオがレストランとして継いでいる。

カルチョッフィ（アーティチョーク）のユダヤ風、チコリのフリット添え

番の名物料理は、何と言ってもカルチョッフィ・アラ・ジューディア（カルチョッフィのユダヤ風）だろう。初冬から春先に掛けて、朝、市場から仕入れたばかりの大量のアーティチョークが、開店前の店の前に箱ごと積み上げられている。一つ一つ丁寧に硬いガクを取り除き、オリーブ油で素揚げした素朴な料理で、アツアツをレモンをかけていただく。山菜のてんぷらにも通ずるさっぱりした味わいだ。素材の新鮮さにこだわったあっさりした味付けは、フェトゥチーネやリゾットにも通じており、いくらでも食べられるおいしさだ。
　肉料理はアバッキオ・アル・フォルノ（乳呑み仔羊のオーブン焼き）がうまい。生後３〜４週間の仔羊でミルクだけで育てられているので、柔らかくてクセがない。

手打ちのさっぱりしたフェトゥチーネ

乳呑み仔羊のオーブン焼き、ローストポテト添え