ホテルはアラゴン城の小島の山頂にある

泉の湧く保養地として名高いイスキア島。その２００ｍほど脇の海上に寄り添って浮かぶ岩山の山頂に、当時ギリシア人領であったシチリア島のシラクーザのゲローネ（Gerone）１世によって紀元前４７４年初めて要塞が建設された。１４３８年、アラゴン朝のアルフォンソ５世は要塞を再建し、島を橋で繋いだ。

トンネルの先のエレベーターで山頂のホテルへ

スキア・ポンテの町はずれ、アラゴン橋の袂で車を降りる。一直線にアラゴン城まで伸びる橋を渡りきると入場門があり、そこから裸電球が灯る真っ暗な小さいトンネルがまっすぐ伸びている。気をつけて進んでいくと、その先にはエレベーターの乗り場があり、いきなり山頂に出ることができる。ホテルはすぐそこだ。
　紀元前５世紀以来、幾多の城、要塞、教会、修道院などを狭い山頂に建ててきたため、周囲にはいろいろな時代の歴史的建造物が重なり合うように立っている。あるものは今も形をとどめ、またあるものは廃墟となり、もしくは痕跡を残すのみとなっている。

涼しげなタイル張りの簡素な室内

室は、クララ女子修道会修道院であった建物を利用したシンプルな作りで、決して広くはない。しかしテラスからの眺めは何ものにも代えがたい。一直線に伸びるアラゴン橋とその向こうのイスキア・ポンテの町。夕景けに染まる海に漁港に点在する漁船。左手には、今はホールとなっているインマコラータ教会の聖堂。

海のリゾットにはイスキアワインがよく合う

　聖堂脇に位置するレストランでは、家庭料理風のシンプルな料理が提供される。レストラン脇の大きなテラスからは、客室同様に美しいイスキア島の風景を堪能できる。