遥かなる道のりの先にある楽園 | ||||||||
ーロッパ大陸の南の果てと言われてきた、ギリシア最南端のテナロ岬。現代の測量により、ジブラルタル岬の方が僅かに南寄りであることが分かったが問題ではない。
こんなところに、リゾートホテルが有るのかと誰しもが思う。小さな漁村で一番の大きな建物だから、網を結う猟師が佇む小路を通って迷うこともなくホテルに到着する。
石壁のゲートを抜けた後、陽射しを白一色の石材が反射する白い光の世界から、一転して暗やみの中に通される。初めは回りの様子が全くわからないが、目が慣れてくると古びてはいるが落ち着いたレセプションであることが分かる。この一角には、大邸宅のようなロビーと、倉庫をそのまま使っているであろう画廊がある。マーニ特有の乾燥した大地の村々を描いたプリント画なら、手軽に入手できる。 |
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太陽と水とだけ戯れる時間 | ||||||||
セプションの建物を海側に突き抜けて進むと、再び目も眩む陽光の下だ。海に面した石のテラスには真っ青なプール、その回りを囲む、塔有り、離れ有りの複雑な建築群の一つ一つが、個性的な客室になっている。このホテルでは、どの部屋を選ぶかが特に重要だ。料金区分だけでも8つ、さらにそれぞれの立地により楽しみ方が違ってくる。
夏であれば、プールが欠かせない。暑くなれば水に飛び込んで、焼け付くほどに加熱した石のテラスのビーチベッドで休んだりウッドデッキで飲み物を注文して涼を取る。
そのままシュノーケリングで沖に100メートルも行けば、リーフエッジで中型の回遊魚に出会うことができる。大規模な漁業と無縁の、今日取った分を売って生活の足しにするという昔ながらの漁のスタイルにより、豊かな海が守られている。 |
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日が暮れると、一日の後半が始まる | ||||||||
の青色が、少しずつ紫がかってくると夕暮れが近い。倉庫一棟を改装したディナーのための立派なホールがあるが、夏ならばプールから続いて湾に向かってせり出したロマンチックなウッドテラスでのディナーが最高だ。
布が敷かれた大きな木製のガーデンテーブルに、ゆったりした木綿地の椅子、キャンドルに輝く、磨かれた食器やワイングラスの光が幻想的だ。あたりはほの暗く、微風と柔らかな並みの音、ゲストたちの低い会話の声が、心地よい。
料理は日ごとに変わるプリフィクス方式の、ギリシアをモチーフにしたオリジナル地中海料理だ。グリルしたエビのサラダ、魚フライ・茹で魚のマリネの盛り合わせ、海の幸のリゾット、サーモンのグラタン風など、いずれも丁寧な盛り付けで目を楽しませた後、ギリシアらしいボリュームたっぷりでストレートな美味しさが口に広がる。
フルーツで締めくくった後は、メインホール裏手の静かなカフェ席に移ろう。 小さな漁村の可愛らしいキュービックな家々の明かりを望む、取って置きのスペースだ。洩れ来る光だけを頼りに、ギリシアコーヒーの強い渋みを感じながら語らおう。
屋に戻ると、マーニの古い家を再現したような寛ぎの空間が待っている。
すっかりリラックスして、癒されたせいか、眠りに着くのも早い。 |
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朝の空気は、マイナスイオン一杯ですがすがしい | ||||||||
朝、日が昇ると、イェロリメナス湾の向こうのラフーラの崖が黄金色に輝く。昨晩とは全く違った光景だ。
Kirymai(キリメ), |