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20世紀前半の風情を残すフォービストの定宿
Les Templiers
レ・タンプリエ
(コリウール −フランス)♦
小運河沿いのプロムナードにある画家たちの宿



運河沿いの並木道に面した伝統的な南仏スタイルの建物

ォービズム、野獣派とも言われる20世紀初頭の絵画運動。感性から湧き出す強烈な色彩と自由なタッチで描かれた斬新な芸術は、この宿屋で生み出された。当時、この宿を定宿にしていたのは、マチス、デュフィ、ドラン。そしてピカソ、ダリ。マチスは、20代の若き画家たちと、1905年、ここコリウールでフォービズムを一気に開花させた。この町を舞台に多くの名画が生み出された。現在それらの作品に描かれた風景のある地点には、作品のレプリカが掲示されており、「フォービズムの道」として巡り歩くことができる。


カフェでは、地元の男たちに混じって、クロワッサンをほおばろう


店の目印はこの看板

 レ・タンプリエは、当時の姿をそのままに残す古い宿屋で、一歩足を踏み入れると古いポスターに出てくるようなレトロな雰囲気が漂っている。1Fはカフェになっており、朝であれば地元の男たちが集まり、新聞を読みながらカフェでのどを潤す、昔と変わらぬ本来のカフェの様子が目にされる。壁一面、滞在した画家たちの作品が埋め尽くしている。日中は小運河沿いのテラス席に観光客が集う。向こう岸のアラゴンの城を眺めながら、プラタナスの下でランチを決めるのも悪くない。


宿屋の階段や通路の壁は、画家たちの作品でいっぱい


芸術作品のような椅子


まるで美術館のようなサロン


デコラーティブな木彫りのアンティークは前世紀初頭のまま

客室そのものが芸術作品



テラスからの色彩豊かな眺め

フェのスタッフに声をかけると、脇の狭い階段から上がる客室に案内してくれる。階段の脇、客室までの間の通路、無造作に掛けられた作品で全面が埋め尽くされており、これはもう美術館といっても過言ではない。室内の、ベッド、椅子、机、これら調度品の強烈な色彩は、フォービズムの具現化だろうか、すべてフォービズムの時代のままの、味のある木彫りのアンティーク家具だ。インテリアそのものがまた、一つの作品のようにも見える。小運河沿いの部屋のテラスには、強い陽光が差込み、運河、並木道、城、碧い地中海、まさに色彩の洪水だ。
 宿にはカフェのほか、レストランも併設されている。こちらは赤と青をベースにした鮮やかだがモダンなデザインで一面覆われており、美味しい地元の素材を活かした、素朴ながらも少しお洒落な料理が供される。


レストランのモダンなインテリア

 小運河に沿ってビーチまではほんの1〜2分なので、朝・夕と表情を変える海を眺めるも良し、目の前のアラゴンの城を訪ね、フォービズムの道を辿りながらのアトリエ巡り、名産のワインやアンチョビ専門店でのショッピングなど、小さな町ではあるが楽しみには事欠かない。

素材を活かした料理は少しだけ気取った盛り付けで

Les Templiers(レ・タンプリエ),
12 Qual de i'Amirauté, 66190 Collioure, France (-->地図08) Tel: +33 04 68 98 31 10
Fax: +33 04 68 98 01 24
e-mail:
ホテルURL: http://www.hotel-templiers.com/
紹介URL:
部屋代: 41〜60ユーロ(冬期)/50〜78ユーロ(7-9月)、朝食6ユーロ
代理店:
営業期間: 通年(オフシーズンに一時休業あり)
レストラン: 併設
カード: 可
コリウール市街の中央にあるアラゴン城すぐ脇、小運河沿い。国鉄駅から徒歩10分

2005.8.11掲載