人目を気にせず羽を伸ばせるヴィラの生活 | ||||||||
こに紹介するのは、ホテルではなく、ヴィラである。
|
||||||||
心和む農家風のインテリアとエクステリア | ||||||||
キンソスの町から車で小一時間、田舎道をたっぷり走って、島の西岸の高所にあるカンビに近づく。小さな村落に入るほんの僅か手前、左手の小さな家がヴィラ・ジョイアだ。小さな看板を見逃さないようにしたい。割と新しいが伝統的なザキンソス風の石造りの小さな家だ。日本の一軒家とちょうど同じくらいの、数日を過ごすにはちょうど手ごろなサイズだ。
同じ敷地にもう一軒、ヴィラ・アンシ(Anthi/Ανθή)があるが、こちらはテラスハウス風に2家族が一軒を共有するような作りとなっている。 棚を被うようにブーゲンビレアの花咲くテラスを通って、白っぽい石を積み上げて作った建物の玄関から入ると、そこは朝日が差し込むリビングだ。外壁の石をそのまま生かした農家風のインテリアで、石造りの暖炉やアンティークな家具がよく似合う。窓が小さく部屋が暗いのは、夏の強すぎる陽射しを遮るためのギリシアではよくある建築法だ。 リビングからそのまま一段上がると、ナチュラルに仕上げたキッチンがある木の香豊かなダイニングに続いている。食器から調理用具まで、上質の備品が完備しているので、ここで調理をするにも全く不自由がない。 キッチンから西にでると一部屋分の広さはありそうなベランダで、室内とは対照的にまばゆいほどの明るさだ。よしず張りの屋根と格子状の日よけのせいで、午後でも直射日光を避けて寛ぐことができる、夏のリビングルームだ。
ベランダの前には、境界はどこかと思うほどの実に広大な庭園が、緩く下った斜面に広がっている。オリーブの木や井戸など、農家をモチーフにしたオブジェが絶妙に配置されている。 その向こうには、実際の農家のオリーブ畑、そして目を凝らしてみれば羊の群れを追う羊飼いの姿、左手には人口わずか68人のカンビの村落があり、その教会の鐘の音が意外とはっきりと響いてくる。正面には十字架を頂く小高い丘、その丘に遮られてはいるが、海もすぐ先にある。ここが全て自分の庭だと思うと、自ずから豊かな気持ちになってくる。
こで暮らすには車は必需品だ。現金や食料品は、十数キロ〜二十キロ先の村まで買出しに行かなければならない。しかしそれが静かな暮らしを約束してくれるとも言えるのだ。
Villa Tzogia(ヴィラ・ジョイア), |