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海に浮かぶ天空の町
Bonifacio
ボニファシオ
(フランス)♦♦
Centro
Storico

旧市街の入口から空中に浮かぶ町を見上げる

ランスの南の果て。それは、本土の沖合いに浮かぶコルシカ島南端の町、ボニファシオだ。海峡を隔てた20km先は、イタリアの町サンタ・テレーザ・ガッルーラ(サルデーニャ島)だ。
 ボニファシオは、リアス式海岸の断崖の上にある。正確に言えば、オーバーハングした断崖の上にあるので、建物によっては本当に海の上にある。町の中心は、入り江の奥深くにある港周辺と、細長く突き出た岬の上の岩山に築かれた旧市街の2つの部分から構成されている。

旧市街と入り江の奥の港

の周囲の海岸はレストラン、バー、ブティックなどが連なり、リゾート感が溢れている。ここから見上げる旧市街の城壁は大変な迫力で迫ってくる。旧市街まではつづら折の長い階段を上っていく。城壁の高さは驚くほどだが、ウインドウショッピングとすばらしい景色とに助けられ、夏の暑い盛りでもなけれぱ、思ったほどきつくはない。木製の跳ね橋を渡り、分厚いジェノヴァ門をくぐると城内だ。まず、ジェノヴァ門のすぐ脇にある入口から城壁に上ってみよう。ボニファチオ名物の強風が汗を乾かしてくれる。疲れを吹き飛ばす、素晴らしい景色がご褒美だ。
 この町は中世にジェノヴァ人によって作られたもので、住人にもその末裔が多い。ジェノヴァ訛りのまじった方言で話すので、地元では町の名をボニファチオと呼ぶ人が多い。狭い城壁内は格子状の細い路地が張り巡らされており、その両脇は5〜6階建ての高い建物が立ち並ぶ。中心にあるサント・マリー・マジュール教会は、イタリア人作った町らしく建物の一部にロッジァを持っているのが特徴的だ。

サント・マリー・マジュール教会のロッジァ、かつてはここで市民会議が開かれた

 ジェノヴァ門から町の西外れにあるサン・ドミニク教会まで、旧市街の南側を東西に貫くドリア通り(Rue Doria)〜サン・ドミニク通り(Rue St Domimique)は賑やかな一帯で、夏の夜ともなれば、近くのビーチで一日を過ごしたリゾート客が押し寄せて狭い路地はいっぱいになる。コルシカ家庭料理の店カンティナ・ドリア(Cantina Doria)、魚料理が美味しいステラ・ドーロ(Stella d' Oro)などのレストランを始め、みやげ物、アクセサリー、ファッションなどの商店が連なる。その北側、中世の高層住宅がひっそりと立ち並ぶ静かな住宅街を彷徨うのも楽しい。

町外れのサン・ドミニク教会を出発した宗教行列

ン・ドミニク教会は、岬に向かって城壁を出てすぐの荒地の中に立っており、14世紀のピサ時代に立てられた教会だ。8角形の鐘楼が特徴的だ。8月24日の聖バルテレミー(St. Barthélémy)の日、普段は教会にあるキリスト像が、民族衣装を着た沢山の町人に付き添われた行列となって、旧市街を目指して出発する。城壁内の目的地(恐らくはサント・マリー・マジュール教会)までの道を往復する。サルディーニャの聖人の里帰り行列を思い起こさせる楽しいイベントだ。


アラゴンの階段は、海までの急勾配を一気に駆け下りる










壁の南側は垂直な崖になっているが、その中を約45度の急傾斜でえぐって作られた187段の階段が80メートル下の海まで続いている。アラゴン王の階段(Escalier du Roi d'Aragon)と呼ばれており、伝説によれば1420年、アラゴン王アルフォンソ5世がこの町を攻略する際、一夜のうちに作らせたといわれている。一直線に海面まで続く階段を下っていると、思わず青い海に吸い込まて行きそうな錯覚に陥る。海面に達すると道は水際すれすれに岬のほうへと続いている。