い所、という意味の思わず微笑んでしまうような名前の街、ロコロトンド。実際、その旧市外はほぼ正円形をしている。丘上の街で、円形の周辺部の家々はまるで白い城壁のように、谷を見下ろしている。
　家々は、周囲の農村部のトゥルッリの影響を反映してか、屋根は石の瓦で覆われた急傾斜のものが多く、壁は白く塗られている。【写真下】
　内部は狭い路地が建物をくり貫いたトンネル状の通路で繋ぎ合わされた複雑な迷路となっている。町の中心にあるマードレ教会は、密集した住宅の狭間にあるため、その全貌を表すことはない。
　町の正門である、立派なナポリ門の門柱のすぐ外には、南に向かってイトリア谷を見下ろす開けたテラスになっている。トゥルッリの農家が点在する農村風景が素晴らしい。
　また谷側から見る、丘の上に聳え立つ丸い町の様子が面白い。周辺の畑のブドウから作られる、すっきりした味わいの白ワイン「ロコロトンド」が有名だ。