タリア半島のつま先にあたるカラブリアは大きな町もなく、州全体がまさに自然に包まれた田舎だ。それだけにビーチの美しさはイタリアでも指折りで、特にここトローペアは、垂直な崖の上から見下ろす、エメラルドグリーンのビーチと真っ白な砂浜で、比類なき美しさを誇るリゾートだ。

　日中の町は、強い日差しのなか、死んだように静まり返っている。ローカル線の駅から街へと向かう一本道は、海へと落ち込む高さ40メートル断崖に取り付けられた柵で行き止まりになる。そこからみる景色は息を呑むような美しさだ［写真上］。砂浜で繋がった海上の岩塊サンタ・マリア島の頂上にある聖所記念堂が風景にアクセントを添えている。
　トローペアには、旨いものが多い。新鮮な魚はもちろんだが、甘味のある赤タマネギもまた有名だ［写真下］。この地域だけで栽培されている品種で、水さらして辛味を抜く必要もないので、サラダにそのまま使える。