道路から少し下がった入口は目立たない

砂のビーチが美しいトローペア。豊かな自然で知られるカラブリア州でも一番のリゾートではないだろうか。ローカル線の駅から海までの一本道コルソ・ヴィットリア・エマヌエーレが、小さなこの街の目抜き通り。そのどん詰まりは海まで落ち込む高さ40メートルの崖になっており、ちょっとした展望台になっている。その左脇にある建物が、ピムズだ。
　崖のあるこの建物は特殊な構造をしている。入口は道路から階段を下った、あたかも地下室の入口であるかのようなところに有り、ドアをくぐると中はまさに穴蔵だ。そう、建物自体が、崖をくり貫いた洞窟なのである。そしてそのまま店内を進むと崖をくり貫いて作ったテラスに突き当たる。薄暗い室内にぽっかりと開いたテラスの開口部から見えるエメラルド・グリーンの海とビーチの美しさは、まるで映画のシーンのようだ。それに海からの風がとても気持ちいい。

テラスの外は蒼一色

タコのマリネは身が締まっていて酸味が程よい

パスタはムール貝とアサリのソースで

洞窟をくり貫いた室内は、夏でも意外と涼しい

理は海の幸を中心にメニューの幅は広い。アンチパストには、イカ・タコ・貝などのマリネがどれもおいしい。コッツェ（ムール貝）のソースの手打ちパスタも絶妙だ。セコンドには、エビや魚のグリルが良い。とにかく素材が新鮮なので、調理法はいずれもシンプルだがどれもおいしく、魚介類の連続でも飽きがこない。暑い季節であれば、お勧めのデザートはセミフレッドだ。魚の後には、濃厚でクリーミーな美味しさで締めくくりたい。

シンプルなエビのグリルも鮮度が違うのでおいしい

とろりと冷たいセミフレッド

海を望む絶景のロケーション（一番右の建物）