「地中海生活」
2000年 冬号 ( 11月12日発行 通算第20号 )
MAP & TRAVEL
THE MAP OF CEUTA
本文に登場する町
その他の主な町
スペイン領アフリカ全図
セウタについて
概要
歴史
旅行の季節
旅行日数
行き方
ホテル
ことば
スペイン領アフリカ全般の情報、参考書籍など
概要
スペイン領アフリカの首都でもあるセウタは、ジブラルタル海峡、すなわち地中海の入り口の要衝にある小都市です。古来多くの人々が行き来し、この町に立ち寄ったのでしょう。地中海の中央部にあるパレアス諸島、シチリア島、マルタ島などと同様、この町もまた無国籍な雰囲気が漂っています。
島の上に築かれたこの町は、2本の橋でアフリカ本土と連結されています。セウタ領内には合法的に働きに来ているモロッコ人も多く見かけられます。白と黒の2色で塗り分けた8つの三角の組み合わせでなる独特のセウタ自治領旗は、ポルトガル各地の市旗に見られるデザインであり、かつてポルトガル領であった時代を思い起こさせます。
町自体は伝統的な古い建築は少なく、また観光より港湾機能や軍事など実務的な側面が強いため、名所旧跡やリゾート施設はそれほど多くありません。むしろ捉えどころのないこの町独特の空気自体が見所といえるかもしれません。 島と本土との間に延々と横たわる堀や要塞、モロッコ国境に設けられた砦、街中に見られるカトリック、イスラム、ユダヤなどの各種教会などの見学や、ビーチや地中海公園などのリゾートなどもあり、ここではスペインらしからぬ国際都市のシティ・ライフをのんびり楽しむのがよいでしょう。
町の中心からバスで10分も行けばすぐ国境になります。文化・風習が大きく異なるモロッコへ、宿泊無しで手軽に行けるベースとしての利用価値もまたあります。
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歴史
セウタは元来フェニキア人の町として建設されました。紀元前319年にはスペイン南部を支配したカルタゴ領の一部となり、紀元前2世紀にはローマ帝国に組み込まれ、ヨーロッパの一部となりました。町の名前はラテン語のセプテム・フラテス(7人兄弟→町の背後の7つの丘を指す)から来ています。ローマ滅亡後、ヴァンダル王国、東ローマ帝国、西ゴート王国とスペインの支配者がここを押さえることになります。
709年、突然来襲したアラブ軍がセウタを占領しました。711年にこのセウタ(アラビア語;セブタ)を出発した軍が、やがてスペインの大部分を占領しイスラム化した、とされています。いずれにせよスペイン支配の拠点として、これ以後、町は急速に発展しました。
13世紀に入ると、地中海諸国との交易により新たな繁栄を迎えますが、ポルトガルやスペインの攻撃を受けるようになります。そして1415年にはポルトガル領となりました。さらにレコンキスタを完了したスペインが1580年にセウタに進出します。
スペインは度重なるモロッコの攻撃を跳ね返しながら、地中海の要衝を押さえつづけました。そして1860年には国境線をわずかに広げています。
その後も最近では1978年のモロッコによる返還要求、1983年の封鎖などがありましたが、現在ではスペイン・モロッコ間の経済交流も進み、ひと頃よりは安定した関係となっています。1995年に念願の自治を獲得しました。
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旅行の季節
海洋性の気候なので、夏はおおむね最高気温が30℃前後、冬は最低気温が5〜10℃前後と、周辺地域に比べ寒暖の変化は比較的穏やかで、夏は快適に過ごせます。晴天が続くのは夏季(5月〜9月)に限られ、冬季には曇りや雨が多くなります。
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旅行日数
セウタの町の中心部は1時間で回れるほどの大きさです。ただ見所は郊外にも散らばっており、全て回るには数日を要するでしょう。あまり観光化が進んでいないため、事前予約が必要な場所もいくつもあります。
1週間程度滞在し、スペイン本土、モロッコなどへのエクスカーションを組み入れるのも面白いでしょう。
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行き方(交通)
セウタには定期航空路線がないため、定期ヘリコプター、高速船(またはフェリー)、モロッコの最寄の空港から陸路、の3つの行き方が考えられます。
一番便利なのが、マラガ空港からセウタまでの定期ヘリコプター路線の利用です。続いてマラガまたはジブラルタルからアルヘシラスまでバスなどで向かい、アルヘシラス港から高速フェリーで行く方法があげられます。またモロッコの最寄りの空港(タンジェ空港、テトゥアン空港)からタクシーで向かうのも時間的には便利な方法です。ただ国境は徒歩で通過となり、出入国手続きが必要です。
いずれの空港へも、ヨーロッパの都市で乗り換えとなります。なおスケジュールは2000年夏期のものです。
セウタへ
(1)ヘリコプターで直行
KLMオランダ航空利用(月・火・木曜発のみ)
東京10:25→アムステルダム15:10 乗継 アムステルダム16:30→マラガ19:20 乗継 マラガ20:00→セウタ20:35
(アムステルダム−マラガはトランサビア航空、マラガ−セウタはスレステ・ヘリコプター)
エールフランス航空利用(水・木曜発のみ)
東京21:55→パリ4:25 乗継 パリ・オルリー10:25→マラガ12:45 乗継 マラガ14:00→セウタ14:35
(マラガ−セウタはスレステ・ヘリコプター)
(2)高速フェリー利用
KLMオランダ航空利用(月・火・木曜発のみ)
東京10:25→アムステルダム15:10 乗継 アムステルダム16:30→マラガ19:20 乗継 マラガ−バス2時間→アルヘシラス−高速フェリー40分→セウタ
(バス、高速フェリーとも夏季は便数が多い)
(3)飛行機乗り継ぎ(モロッコの空港利用)
エールフランス航空利用(木曜発のみ)
東京21:55→パリ4:25 乗継 パリ9:35→カサブランカ10:45 乗継 カサブランカ12:00→テトゥアン13:00 タクシー約20分→セウタ国境(通過手続き) タクシー約10分→セウタ
(カサブランカ−テトゥアンはモロッコ・ロイヤル航空)
KLMオランダ航空利用(月・火・水・木・金曜発のみ)
東京10:25→アムステルダム15:10 乗継 アムステルダム16:00→ロンドン・ガドウィック16:15 乗継 ロンドン・ガドウィック17:45→タンジェ20:15 タクシー約80分→セウタ国境(通過手続き) タクシー約10分→セウタ
(アムステルダム−ロンドン−タンジェは英国航空利用。タンジェへは、ロンドン発の英国航空のみが周遊券で割安に利用できます。また東京→ロンドン直行便利用の場合、接続時間が短いため、発券システム上一度チェックアウトしないと乗り継ぎできません。)
国境通過の公共交通機関はなく、徒歩で検問を通過し、入国手続きを行います。
セウタ市内の交通
市内中心部にはバス路線が整備されています。またアチョ山方面など郊外には、タクシーが料金も安く気軽に利用できます。
港へはバスはなく、タクシー利用となります。中心部まで歩いても10〜15分くらいの距離です。
周辺諸国への交通
スペイン本土へはアルヘシラス行きの高速フェリーが夏季は1〜2時間、冬季は2〜3時間ごとに出ています。
モロッコへは、直通の交通機関はありません。国境までは路線バス、タクシーが利用できます。国境で出入国手続きを行い、通過します。国境のモロッコ側には公共交通機関はありませんが、乗合タクシーが待っており、バス料金程度の料金で、テトゥアン、タンジェなどの町まで移動することができます。なおモロッコとは夏季で2時間、冬季で1時間の時差があります。特にモロッコからセウタに戻るとき、国境を越えた瞬間に2時間(冬季1時間)進みますので、思いのほか遅い時間になってしまいます。
海峡の反対側に位置するジブラルタルへは、直行の船便はありません。アルヘシラスからバスを乗り継ぎ、ラ・リネア・デ・ラ・コンセプシオンから徒歩でジブラルタルに入国することができます。国境のジブラルタル側でタクシーを捉まえ、市街地まで移動します。
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ホテル
セウタは観光需要が少ないためホテルは意外と少なく、主なホテルは3軒の4つ星ホテルだけです。
特に歴史を感じさせる風格のあるホテルは、ここで紹介したパラドール、ホテル・ラ・ムラージャパラドールだけと言えます。城壁内部に作られた旧館と、眺望が素晴らしくクラシックな内装の新館のどちらも捨てがたいものがあります。
もちろん5000円以下でとまれる経済的なホテルも存在します。
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ことば
スペイン語が話されます。作成者滞在中の体験では、英語が通じることはまれでした。
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